東京の印鑑屋さん

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天才女優・芦田愛菜の映画初主演作である。

ドラマ「明日、ママがいない」では、養護施設で暮らす子どもたちのリーダーとして、
大人が見過ごす子どもたちの心情を汲み上げつつ受け止めるという、
大人以上に大人であることが求められる難しい役をこなしていたが、
この「円卓」での芦田愛菜は、全くの子どもだ。

大阪近郊の公団住宅に暮らす小学三年生のこっこは、
好奇心旺盛で、傍若無人で、元気で、正直で、ワガママで、まっすぐだ。
気になる言葉は、とにかくジャポニカの自由帳に書き留め、
「普通」でないことにあこがれている。

「ものもらい」(「メバチコ」やろ)になった級友が眼帯をしているのをカッコイイと思って、
翌日、同じように眼帯をして、「えんきんかん」がなくなることを実感してみたり、
紛糾する学級会に、委員長の朴くんが「パニック」になって「ふせいみゃく」で倒れると、
同じようにパニックで倒れてみたりする。

朴くんが「ざいにちかんこくじん」であることを告げると、
「三世なんて王様みたいでカッコイイ」と素直に口にするし、
ゴッくんの両親が「ボートピープル」だったことや、幼馴染のぽっさんの吃音にも、
その「平凡さ」からの距離に心の底からあこがれている。

という演技を、芦田愛菜がものの見事にやってのけるのである。

台本は何百回も読んで身体にしみこませ、監督の注文にも即座に対応し、
両親を演ずる八嶋智人や羽野晶紀のアドリブの掛け合いにも割り込んできたのだという。
役者として計算しつつ、主人公・こっこになりきる。
それを当たり前のようにできる女優・芦田愛菜がそこにいる。

関西の小学三年生・こっこのひと夏の心の成長を描いた映画を、
関西出身の芦田愛菜が小学三年生だった2013年の夏に撮影できたという幸運。
彼女に断られていたら、映画は作らないつもりだったという行定監督の言葉もうなづける。

で、映画そのものなのだが、ドラマ「明日、ママがいない」でもそうだったように、
芦田愛菜が演じることで主人公にリアリティや存在感が出すぎてしまい、
少し緩めに設定された物語世界の方を許さず、
普通のフィクションであれば許される程度の現実からの逸脱が、
決定的な欠点であるかのように増幅されてしまうように感じたのだった。

ものすごく歌の上手い人が歌う童謡が、どこか居心地の悪さを感じさせてしまうように。

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